2010年 クレマチスの会


第19回 クレマチスの会 テーマ
遺品整理の現場から見えてくる現代の生と死のあり様


開催日 平成22年4月10日(土)
講師 吉田太一

〈講師プロフィール〉
1964年大阪市生まれ。調理学校卒業後、
様々な店で和食の修行をし、和食店に勤務。
1999年、全国初の「引越し屋さんのリサイクルショップ」を開設し
メディアに注目される。
2002年、全国初の「遺品整理専門会社・キーパーズ」を設立し、
東京・名古屋・大阪・福岡に直営店を置き全国各地でサービスを展開。
現在は経営者のかたわら、「気づかれず放置された孤独死」を
防ぐための講演活動や孤独死の啓蒙DVDの作成、
エンディングノートの無償配布等を積極的に行っている。
著書:「遺品整理は見た!」・「遺品整理屋は見た!!天国への
お引越しのお手伝い」共に扶桑社。
「おひとりさまでもだいじょうぶ」ポプラ社。
「遺品整理屋が聞いた・遺品が語る真実」青春出版。
5月20日にキーパーズが監修兼モデルの
小説さだまさし著「アントキノイノチ」が発売中
 
〈講師よりのひと言〉
遺品整理が終わるまでは、故人の部屋には生きざまが存在しています。
私たちの仕事は、故人の生きざまを尊厳をもって
消し去る役かも知れません・・・。
気づかれずに放置された孤独死などのあり様から、
垣間見えてくる現代社会の「生と死」を見つめます。
第20回 クレマチスの会 テーマ
日本人の生と死---源氏物語の場合


開催日 平成22年6月12日(土)
講師 田畑邦治

〈講師プロフィール〉
白百合女子大学教授、生と死を考える会理事長、
日本カトリック教育学会会長
関連著論文:
『出会いの看護論-人間の尊厳と他者の発見』(看護科学社)
『悲しみを支える言葉-古事記から芭蕉まで』(佼成出版社)、
『いのちに寄り添う道』(一橋出版、所収)など
 
〈講師よりのひと言〉
「だれでも死ぬときはこの世の人々の中で最初に死ぬ」(イヨネスコ)
「どの死もかき乱しであり、『最初の』死です。
数としての死は存在しない」(フィンク)
一人一人の人間が生きて死ぬ、ということを、
統計的に表現することはできません。
それはまた単なる客観的な事実にすぎないものでもありません。
私たちは他者に死なれ、離別・死別の悲しみを味わいますが、
もしかしたら、死なせてしまったのではないか、という
悔いや懼れを感じることもあるのです。
日本の文学作品の代表格とも言われる『源氏物語』には、
そのような人間の生と死の微妙なありようがみごとに描かれています。
現代の日本社会において、一人一人の生と死の重さが、
「物の哀れを知る」こととして受け取られているでしょうか。
源氏物語の中から、日本人の死生観や感受性について
学んでみたいと思います。
第21回 クレマチスの会 テーマ
金子みすずの作品と生涯にみる生と死
―分析心理学の視点から―


開催日 平成22年10月23日(土)
講師 福田周(ふくだあまね)

〈講師プロフィール〉
東洋英和女学院大学院人間科学部教授
臨床心理士
専門は病院臨床心理学
 
〈講師よりのひと言〉
金子みすゞ(みすず)は、大正から昭和初期にかけて
活躍した童謡詩人です。26歳という若さで亡くなり、
その後半世紀の間忘れられていましたが、
同じく童謡詩人の矢崎節夫氏によって再発見されました。
みすゞの独特な視点と無垢な子供の言葉で語られる
詩の世界は現代人の心をとらえ、世代を超えて我々に
新鮮な驚きを与え続けています。
しかし、彼女の生涯は決して幸福なものではなく、
女性、妻、そして母としてのあり方に苦悩していました。
いわば時代の犠牲者として自死に至った人でもあります。
彼女の生涯を追いながら、分析心理学的な視点から
彼女の生にとっての創作の意義を振り返ろうと思います。
 
〈担当より〉
金子みすゞの『大漁』、『りこうな桜んぼ』などの詩には
身近な自然物の声が書きつづられています。
今の我々には見えなくなった、聞こえなくなった世界を
見せてくれます。自然のささやきが聞こえるがゆえに
自死せざるを得なかったみすゞの姿は、
今の日本で毎年3万人以上おられる
自死された方々の心と通じるものがあります。
詩のみずみずしさと死を選ばざるを得ない事情について
ご専門の分析心理学的なお話をお聞きできると思います。
参加者と講師との交流を通して彼女の深いスピリチュアリティを
感じることができればと思います。
第22回 クレマチスの会 テーマ
二人称の死とグリーフケア


開催日 平成22年12月18日(土)
講師 山田和夫(やまだかずお)

〈講師プロフィール〉
精神科医、横浜市立大学医学部附属センター病院
精神医療センター助教授、
東洋英和女学院大学大学院人間科学部教授、
横浜クリニック院長、
パニック障害・社会不安障害などの不安障害と
うつ病・双極性障害などの気分障害が専門
「不安・うつは必ず治る」(勉誠出版)、
「心が楽になっていくノート」(彩流社)、
「気分障害の診療学―治療初期から治療終結までー」(中山書店)、
「今日の治療方針2004:難治性うつ病」(共著、医学書院)、
「気分障害の治療アルゴリズム」(共著、じほう社)、
「抗うつ薬の選び方と使い方」(編著、南江堂)など多数
 
〈担当より〉
山田先生は、東洋英和女学院大学大学院では
臨床死生学を担当されておられ、
平山正実先生の後任に当たる方です。
日本は『競争し、闘いながら欲望を追求する
〈個人志向〉の社会』の傾向が強くなっています。
その社会になじめず「不安障害やうつ」に
悩まれている方が多くおられます。
毎年3万人以上おられる自死された方の多くも
「不安障害やうつ」に悩まれていたに違いありません。
「不安障害やうつ」について数多くの臨床を
踏まえたお話をお聞きできると思います。
様々な喪失体験を経験され、悲嘆を抱えつつも
新たな道を歩むもうとされている方が
その人なりにヒントをつかむきっかけになれば、
心に安らぎを感じるひと時を過ごすことができればと
願っております。
共に語り合いたいと思います。
「不安障害やうつ」の経験がある方は是非ともご参加ください。